都会を離れて


実家から渋谷の映画館を経由して宇都宮に帰る事にする。
渋谷で「転々」という映画を終わると、すっかり日は落ちていて町は夜景モードになっている。
僕は映画館の入ったビルを出て、出て来たビルを見上げる。
「これは」と思い、写真に収めるために横断歩道を渡る。
カメラを構えて、フレームをあわせる。
歩道には誰一人ビルが放つ光の加減に気づかず歩いている。
目的地に向かう事や、友達や恋人との話に興味は向いている。
僕が足を止めるのは、カメラを始めたからなのか、都会を離れたためか、それとも少し旅行者の気分なのだろうか?


家に帰る電車の中で撮った写真を改めて見てみる。
もしこの写真を彦摩呂さんが見たら、例の言葉を言ってくれるのでしょうか。