空の欠片


途中まで文章を書いていたのだけど、なかなか乗せる気にはならなかった。
なんだか、文章が写真に負けている感じがしたからだろうか。
タイトルと写真と音楽。
それさえあれば、他は何もいらない感じがしていた。


写真のタイトルにしたこの曲は、昨年教育テレビで放送していた「電脳コイル」というアニメのエンディング曲に使われている曲である。(現在土曜日午後5時半から再放送中)
このアニメは入り口は広く、奥が深い、近年稀に見る名作。
僕はその内容と、曲の持つ印象に強く引かれていた。
サントラを買い。曲を聴きながら中に入っていたジャケットの文章を読む。
その文章の中に監督が自分の作品全体を表す言葉を挙げていた。


「夕焼けの美しさと寂しい感じ」

たしかにこのフレーズで作品も、音楽もすべてを表している感じがした。


子供の頃に、遊び疲れて、友達と別れて一人自分の家に帰る時に見た夕焼け。
友達とけんかして帰る時の夕焼け。
ひざ小僧に怪我をして涙をこらえながら帰る感じ。
届かない思い、疑心暗鬼の思い、弱い自分に閉じこもる思い。
初恋の切なくて胸が締め付けられる甘酸っぱい感じ。
教室に差し込む夕焼け。
皆で大笑いした後にくる寂しさ。
刹那に変わる夕日の美しさと迫り来る闇。


それでも僕らは進むしかない。
闇に光をあてて。
明日に来る朝日を信じて。


写真のように光と影と友に。

プリズム/空の欠片

プリズム/空の欠片