青い空


仕事からの帰り道、車を運転しながら一瞬青い空にハッとする。
雨の日でどんよりな空模様の一日だったけれども、マジックタイムのお陰で最後に美しい色彩を見せる。
信号待ちの時に「奇麗」と頭の中でつぶやき、カメラのシャッタを押す。
そして突然マトリックス・レボリューションズを思い出す。
マトリックスの世界では既に地球上に奇麗な自然は失われており、しかも死を覚悟した最終戦争の最中。
ヒロインのトリニティーがどんよりした地上の世界から、一瞬だけ雲の上に突き抜けて、その抜けた空を見た時に、「奇麗」と漏らす。
映画を見た時は映画の流れを止めていて、こんなシーンは入れない方が良かったんじゃないかと思っていたが、映画を見てもうだいぶ経っていて他のシーンは忘れているのに、このシーンは度々思い出す。


マトリックス三部作は娯楽大作でメッセージなどはあまりないと思っていたが、このシーンからは今更ながらメッセージ性を感じる。
本来ならば、『人類が今のまま愚かなままだと、自分たちが作ったコンピュータやロボットが支配する世界になってしまいますよ。』
というのが本筋だろうけど、奇麗さに感動するというのがどうも人間の未来への希望である感じがする。


奇麗な風景に素直に感動するという行為は純粋であり、きっかけであり、原動力にもなると漠然と思う。
「なぜだろう?」と懸命に頭を回転させるが、
結局言葉にならなかった。