先生
写真展以降、写真を勢力的に撮る気分が完全に奪われて放心状態だった。
映画の上映会後ほどではないけれど、これで写真が続くのかなと不安に思っていた。
そんな気分を先生に話す。
「まあ、それでも良いんだよ。」と先生はそんな返答だったと思う。
そのあと、先生に
「先生の実家って写真屋さんだったんですか?」と聞く。
僕の中で大正生まれの人が写真をやっているという事は、
昔から名家に生まれていたり、写真屋に近い事を家がやっていないと始まらないっと、浅はかに考えていたからそういう失礼な質問をしてしまったのかもしれない。
しかし世は大正、昭和初期。
そんな甘い想像が正しいはずはなかった。
両親も亡くなって、兄弟離散。
そういう話だった。
「なんでだったかな〜。親戚の家にお世話になっている時に、覚えていないけど写真機に出会う機会があってね。」
そんな戦時中と戦後の話だった。
そんな内容を笑いと共に話される。
先生は偶然の出会いと写真が好きだという理由で今も撮影を続けているのだ。
環境が、とかじゃなく。
好きだ。という心で。
だから写真を今までやっている。
先に生まれると書いて、「先生」という。
僕は、その先に生まれた人の経験談と生き様が作った道を、歩く事が出来る。
よし、写真をまた楽しむか!