Grand Circle Travel By RV. Ⅺ


アーチーズ国立公園で幾つかのトレッキングコースを歩いて、いよいよデリケートアーチのトレッキングコースを歩く。
このトレッキングコースは他のコースよりも長く、小一時間のコース。そして、トレッキングの最後には、他ではなかなか見られないアーチを見ることができる。
緩やかな山を登り、そして下り、そして途方もなく見える一枚岩を登っていく。


そして、砂漠を抜け、さらに右手の絶壁の横を登っていくと次第に道幅は狭くなり、標高も高くなっていく。
さらに進むと右手を塞いでいた絶壁は次第に低くなり、視界が開ける。
すると同時に凄まじい風が吹き付ける。
「スゲー風、飛ばされそうだよ」と口々にいい、少し風に体を持っていかれる感覚に恐怖する。
「あれがそうみたいだね」とF式が指を差す。
風が吹く先、30mぐらいに、すり鉢上の岩の上にデリケートアーチが見える。
僕らは近くの飛び出した岩を塹壕にして飛び交う弾丸ならぬ風を避けて、頭を出してデリケートアーチを鑑賞する。


それにしても不思議な形だ。
僕らの頬に当たっている小さな砂が混じった風が数万年かけて作った自然の芸術なのだろう。
そう思うと自然と時間の凄さを感じさせる。
「あそこまで、じゃんけんで負けた奴が行ってみようぜ。」とF式。
周りを見るとみんな風が怖くて、アーチのそばまで近寄ろうとしていない。
じゃんけんをして、F式が負ける。
そしてF式はたどたどしい足取りでアーチまで行き、ポーズをとって帰ってくる。

「どうだった?」と聞くと
「アーチの向こうが絶壁になっていてめちゃくちゃ怖いよ」という。
K党は「せっかくだから俺も行く。」といって、同じようにアーチに行きタッチして帰ってくる。
MAYUMIさんは高い所が苦手なので今の場所から既に帰ろうとしている。
男で自分だけ行かないのは寂しいので「俺も行ってくる」と僕は言い、アーチに向かう。
歩いているとすり鉢上の所は意外と斜度もなく怖くはないが、アーチが近づくにつれて、絶景と絶壁が近づき怖くなる。
そして、アーチは思ったよりも高くその高さに圧倒される。
怖さを押さえてアーチにタッチして、写真用にポーズを撮り帰ってくる。
なんだか子供の度胸試しの気分だ。

帰りの道中、歩きながら興奮冷めやらぬ僕らは、
「今までの中で一番感動があったよな。」とか、
「登り詰めた最後に、あの恐怖と絶景は凄いいいね。」とか興奮した口調で語る。
だけど僕は内心、今度来る時があったら是非、風が無い時に来たいものだなっと思った。