Flowers for Algernon


花束という言葉を聞くと、花の美しさが頭の半分を支配している一方、逆の位置の隅の暗い所に、いつも「アルジャーノン」が、居座っているのを感じる。


大学時代、映画部の部室でだべっていると、本好きなS先輩が入ってくる。
そして、しばらく雑談していると、S先輩はめずらしく自分が最近読んだ本を紹介して、その本を貸してくれようとする。
その本がダニエル・キイスの「アルジャーノンに花束を」だった。
S先輩は大変な読書家だったが、あまり人に自分の気に入った本を勧める人ではなかった。
その先輩が珍しく熱く本を進めるので自分も読んでみることにした。(ちなみに、その先輩が強く薦めてくれた本は、記憶では2冊。アルジャーノンと、塩野七生ローマ人の物語だった。)
読み始めると、その本は知的障害者の日記というスタイルを取っており、大変読みづらい。
それをS先輩に話すと、
「最初は我慢だね。もう少し読むと読みやすくなるよ。」と読み続けることを強く薦めてくる。
その言葉に励まされ?ながら、さらに読み進める。
そして、山場を過ぎてからは、涙を抑えながら読み終わりたくないという気持ちで読了する。


アルジャーノンというのは脳みその実験用に飼われていたネズミの名前。
その数年後、自分の卒業研究がネズミの実験論文を元にしてすることになるとは思っていなかったが、そういう論文を読んでもアルジャーノンが頭の片隅にいた。


色々な思いを込めて、花束を。

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

ローマ人の物語 (1) ― ローマは一日にして成らず(上) (新潮文庫)

愛をこめて花束を

愛をこめて花束を