風は吹く

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月曜の午前4時、寝付けないまま、気だるくタバコを燻らす。
部屋の中はうっすら霧がかかっている。
窓を開けて霧を晴らそうとするが、淀んだ空気は出て行こうとしない。
出窓に手を着き、外を見る。
「リーリーリー」と鈴虫。
いつもより灯りの少ない夜景をただ、ただ、ボーっと眺める。

突然、ばー、っと風が吹く。
心太のように空気に押され、すべての物が後ろに動く。
そして、風は流れ出す。
目は細まり、頬に風があたり、視界が動く。
自転車で快走した時と同じ気分、「すげー気持ちいい!」。

漕ぎ出したときの気持ちを思い出させてくれる、セルモータのような風。


凪のときにも、いつかは風は吹く。
それに乗って動き出せばよいのだ。