南国か!


ダウンジャケットを着込み実家からバス停まで歩き、バス停からメッセに向かうバスに乗る。
バスは橋を渡ってバブル後にできた高層マンションや住宅地を過ぎる、住宅地の屋根の向こうにはバブル期にできた高層ビルや、高層ホテルが見える。
昔は道こそ通っていたがそれを除けばそれはそれは広大な野原が広がっていた。
この地に越してきたときはまったくもって違う景色だっだ。
広大な埋立地は野放しで、背よりも高い草が生い茂り、整地されていない窪地には水がたまり、胸まで漬かってしまう底なし沼と呼んでいた場所まであった。秋にはイナゴと殿様バッタが飛び交い、春にはかえるとひばりの世界だった。

そのころ小学校の国語の教科書には、
「ひばりのすみつけた まだたれもしらない...」という木下夕爾の「ひばりのす」という詩が載っていた。
その秘密感と「だれ」ではない「たれ」という表現のせいで子供の間では一世を風靡していた。


ひばりの巣を見つける。
みんな口では言わないが我先に見つけて秘密を持ちたかったんだと思う。僕も大空を飛ぶひばりのなぎ声を頼りにひばりの巣を探していた。しかし、いくら探しても広大な野原では見つけることができなかった。そんな中、友達が
「ひばりの巣見つけたんだ、秘密だぜ。」といって僕に巣のある場所を教えてくれた。
そこには既に孵化した雛が3匹ピイピイ鳴いていた。その巣を見たときの、嬉しいんだか、悔しいんだか、そういった気分を今でも覚えている。

そんなひばりの巣があった場所は今では南国風の植物と高層ビルが立てられている。
ひばりが去ってしまったのなら、南国風にドードでもいてくれたら面白いのにな。なんて無茶なことを思ったりする日々です。

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