凸面鏡


凸面鏡はなんとも不思議な鏡だ。
魚眼レンズの逆バージョンとでも言おうか、設置しておけばあらゆる物を圧縮して小さな空間に閉じ込める。その効果からか、映画や写真や絵画でよく登場する。
その中でも記憶に残っているのがヤン・ファン・エイクアンノルフィニの夫妻の絵画。大学時代に美術を履修したときに出会い。多少なりとも絵の奥深さを知った一枚かもしれない。
写真のように詳細に書かれた部屋の細部、衣服の生地感、窓から差し込む光の陰影。そして静物画のように、1本の蝋燭や、犬、靴、りんごにも意味が仕込んである。その中でも中央に設置された凸面鏡は、絵の画角に収まりきれない絵の裏側が詳細に描かれている。描かれているのは神父。結婚の宣誓の様子を示していることが分かる。
凸面鏡は圧縮、物にこめられた言葉は非可逆圧縮
そんな暗喩と空間を沢山詰め込んだ絵画である。
今日取った写真にはそんな威力は無いけれど、いつかはこいつを使って面白いことが出来ればなと思う自分を押し込めてみた。

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