お切り子トリマー


最近、「お縫い子テルミー」という小説を読み終えた。
主人公の照美は、依頼主の家に住み込んでハサミ一つで希望の服を仕立てるという、いわば「流しの仕立て屋」を生業としている、そんな奇抜な設定の小説を読み終えた。
そんなころ「妹が美容師なんだ。」という話。
話を聞くと、もう十年は美容師をやっていて、最近子供が出来てお店は辞めてしまったけれども、家に呼んだり出先に行って、流しの美容師をやっています。とのこと。
「どう?(君も)」という問いかけに。
「Yes、アイドゥー!」と答える。

前日、「髪を洗って、ドライヤーを使わずに自然乾燥させておいてください。」という注文があり、今日その意味が分かる。
自然乾燥させた髪は癖の向きや場所が明確に分かる。
その箇所の説明をしながら、どういう髪型が良いか、僕の好みをリサーチしながら髪型が決まっていく。
部屋に新聞紙を轢いて、春の木漏れ日の中、カシャカシャと軽快なハサミの音が鳴り始める。
自分の家で髪を切ってもらうという感覚は小学生以来だ。
しかも親のたどたどしいハサミ裁きとは違い、軽快で迷いの無い音。
一番安心な空間で安心感のあるハサミの音を聞きながら髪の毛は床に落ちていく。
「やっぱり面白い〜。」とトリマー。
「髪切るのヤッパリ好きなの?」と聞くと。
「うん、あと今日みたいに新しい髪形に変えて行く時はものすごく楽しい。」という。

そんな会話の中、程なくしてカットは終了する。
鏡の中には昔風の中分けの髪型から、ダンをつけた今風の髪形の自分に変わっていた。(^_^)

お縫い子テルミー (集英社文庫)

お縫い子テルミー (集英社文庫)

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