桜 夜 上野


飲み屋を後にしてみんなで夜桜を見に行く。
上野公園の入り口には、一本の枝垂桜がシンボルのようにあり、その奥を進むと満開の桜のアーチが続く。
上を向いて歩こう。」、そう坂本九に言われなくても、みんな上を向いて歩いてしまう。
少し人通りの少なくなった道を上ばかり見て歩いていくと、左手にライトアップされた清水堂と桜が見えてくる。
桜は昼間よりも艶やかで薄紅色がさらに紅を増したように見える。
僕たちはここをバックに写真を撮って、清水堂の舞台に上り、桜を愛でる。
そしてそのまま見下ろす方向に見える弁天堂に歩を進める。
桜に誘われるままに目に奪われるままに歩いている感じだ。

弁天堂までの道の両脇には出店が出ている。焼きそば、アンズ飴、たこ焼きなどの定番の出店。それらに混じって、コンピュータ手相占いと書かれた占いのお店が出ていた。
占い好きな女の子達が見てもらっているのに誘われて、自分の占いもしてもらうことにする。
占いはスキャナーの上に手のひらを置いて、コンピュータが占いをしてプリントアウトされる。しかし出てきた占いの紙とは別に、寅さんみたいなおっちゃんが威勢よく手相を見てくれる。なかなかデジアナ混在な感じで面白い。
おっちゃんは僕の右手の手のひらを見みながら、
「あなたはすっごい頑固者。そして賭け事、株は好きでハマるから要注意ね。恋愛は今誰から思わてるよ。」、まとめるとそんなことを言われる。
当たってるか、外れているのか分からないが、それなりに楽しい。
一方コンピュータが占ってくれた結果は、
「非凡な才能だけど自己中。目移りしていると幸運を逃します。泌尿器に注意。」だそうだ。

弁天堂を後にして不忍池を横断する桜並木の道を通って駅への道を行く。
K党とお互いの占い結果を見せ合って、笑う。
「お互い泌尿器には注意しような。」と。


僕は電車からみえる夜景を眺めていた。
桜はもう見えないけれど、それでもいい。
桜のよさは美しさと儚さにある。


ふと、F式の占い結果はなんだったんだろうなと思う。
まあ奴のことだ、泌尿器は大丈夫だろう。と思い、願った。


桜春に、中ぐらいの長さで思い出つづる一日です。

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