夫婦と花火と時々シャッタ


友ちか&YUKI夫妻に誘われて土浦の花火大会に出かける。季節外れに行われる花火大会は、もちろん普通の花火大会ではない。
花火師達が新作花火で腕を競う競技花火大会である。
僕らは土浦駅で待ち合わせて、会場行きバスの長蛇の列を横目に歩いて会場に向かう。駅を右に折れて桜川まで出て、川の土手沿いを歩く。
川の土手は秋の気持ち良い風と水面には綺麗な夕暮れが広がり、右側には鼻をくすぐる露天が軒を連ねている。
友ちかと僕はビールとから揚げを買い、飲みながら歩く。なんだかものすごく和む。
土手の坂に適当な場所を見つけて腰を下ろし、露天で買ってきた海苔巻きを食べながら花火が上がるのを待つ。
僕は海苔巻きを食べながら二人と何気ない会話を聞く。僕はその二人の何気ない会話を聞いて二人の結婚パーティを思い出していた。


結婚パーティーの最後に友ちかがギター、YUKIさんがボーカルで、今井美紀の「PRIDE」を演奏する。
しかし曲はYUKIさんが喉を詰まらせ途中で止まってしまう。
すまなそうにするYUKIさんをみて、友ちかは
「じゃあ、最初からもう一度やろう。」といい、ギターを構えなおす。
そして、ギターの前奏が始まり、歌詞に入る前に友ちかも引き間違えて演奏が止まってしまう。
手を顔の前に立ててあやまり、
「す、すまん、もう一度。」といい再び引き出し、今度は最後まで歌い上げる。
そんなやり取りを見ていた僕らは、
「あれ、わざとかな?」なんて話していたことを思いだした。

そんな二人のさり気ない優しさがなんとも良い感じである。
今日も僕の薄着をみてYUKIさんはストールを貸してくれようとしている。


花火が打ち上がる。


僕は花火に画角を合わせてパシャリと撮る。
次に画角を引き、花火と夫婦に画角を合わせる。
お互い見つめあうではなく、同じ花火をみる二人。
なんだかサン・テグジュペリの言葉が似合う感じだなっと思いながらシャッタを切る。
そんな秋の花火大会です。

P.S fotolifeに露天を一枚追加です。