山道の終点


リアルセカンドライフを過ごす大先輩Sさんのお勧めの温泉に行く。
人数が多いためネコバス号と僕のカブトムシ号で、トトロ号の先導に遅れないようについていく。
「日光の方だよ。」
ということを聞いていたので大体の時間の感覚を持ってスタートする。
霧降高原を過ぎ、いくつもの山や谷を過ぎてもなかなか到着しない。
カブトムシ号は秋の空に誘われてオープンにしていたため、高速道路や霧道や山を通るたびに寒くなる。
次第に山道は細くなり、体も冷気と運転で疲れ切ったところで写真の場所に付く。
日光というよりは奥日光のさらに奥、山道の終点である。
ここにSさんのお勧めの温泉がある。
お勧め温泉は露天しかなくしかも混浴。^^
脱衣所は粗末な感じで不安が過ぎるが、露天に出ると、紅葉しはじめの山と横を流れる川、
硫黄泉の温泉が12個ほど。(2個は女性専用)
僕らは混浴ならではの楽しいイベントがもしかしたらあるかもと期待していたが、
たまに通り過ぎる女性はバスタオルを巻いた方々。
しかもカップルの方々ばかりなので逆に気を使ってしまう。


雄大な山とマイナスイオンいっぱいの温泉に浸かりながらSさんは自慢げに話す。
「おりゃぁ、栃木じゃここの温泉がいちばんすきだぁ」といい皆の顔を見ながら笑いながら話す。
Sさんと話しているとなんだか楽しい気分になってくる。
僕はそんな楽しい気分を味わっていると「エルマー・ガントリー」という映画をネタにしたマンガを思い出す。
大衆を魅了する映画の主人公もこんな風に皆に笑顔を振りまいている。
そのマンガ曰く、「笑いかけられると人は相手を好きになる。」そうだ。


1時間以上温泉に浸かり、遅い昼飯にお蕎麦を食べて、岐路に着く。
いくつかの山を越えて日もどっぷり暮れた頃、やっとこさ家に帰ってくる。
運転に疲れた僕は家に入るといつもの椅子に座る。
何気なく僕は足を机に投げ出して椅子の前足を上げて後ろ足二つにする。
そして足でバランスを取りながら椅子の不安定さを楽しむ。
西部劇のヒーロのマネ。
なんだか僕はこっちの向きなようです。