ダークヒーロ


恵比寿に森山大道の写真展に行く。

「アレブレボケ」を世の中に認めさせた写真家の写真。
絵画で言えばピカソの絵のようなものなのだろうか。
学生運動の盛んな高度経済成長時代、世の中に反対する事が美徳だった。
そんな時代背景に生まれたものなのかなと自分をわざと納得させていた。
モノクロの写真達は、ただそこにある感じで横たわっている。
明らかに自分とは異なる世界の写真に思えてならなかった。


数日後、なんの変哲もない写真達が相変わらずこびりつく。
色を排除し、精細を排除し、意図を排除された写真達は、見るものに意味を探させる。
だからこそこびり付く。
「ダークヒーロ」
そんな言葉が頭に浮かんだ。