暖かい場所と寒い場所


※注意、少し怖い話なので夜トイレに行けなくなる方は読まない方が良いかもしれません。


この季節、トトロと先輩といつもの場所に蛍撮影に行く。
辺りはトトロの森と見間違うごとき里で森と田んぼに囲まれており、周りからはゲゴゲゴゲゲゲ、と途切れる事ないカエルの大合唱が聞こえる。
そしていくつかの弱い光が木々を装飾し、眼前や頭上を漂っている。
そのうちの一筋の光が僕の近くの草に留まり、緑色の光をほのかに光らせたり、また闇にしたりする。
僕はその草に向かって三脚を設置して、カメラをセッティングしてレリーズスイッチを押す。
今度は撮影時間を変化させてまたレリーズを押す。
そんな事を繰り返していると、蛍の光はまた別な所に飛んで行ってしまう。
そしてまた別の蛍を探す。
そんなことを繰り返していると、たまに地元の方が訪れて、
「あっちの方がもっといっぱいいるよ。」だとか、
「去年よりも蛍がおおいかもしれないなぁ」だとか声をかけてくれる。
僕はそんな様子を見て、
「ここは暖かい場所だな。」と改めて思う。
二週間前僕らは別の、いうなれば寒い場所で蛍を見ていたのだった。



「週末、蛍の新規開拓探しませんか?」、とトトロに持ちかけられる。
僕は「OK、いいよ。」、とすぐに承諾して、週末には蛍探索に出かける。
僕らは○市の○○川辺りを探索エリアとして、蛍探索の前に温泉に入り、早めの食事を済ませて、日没になりかけた頃に○○川沿いに蛍の探索に出かけた。

...
...
...

とにかく寒い場所だった。
別に何があったわけではない、蛍は見れたのだ。
事実だけ書けば、トトロと僕が同時に同じ場所で悪寒が走り、その日撮った写真をすべて消した。
そして僕だけ帰宅途中で非通知でワン切り電話が携帯に鳴り、家に帰って来たら家の電話がひとコールだけ鳴っただけの事。
翌日近所の神社にお参りをしたが、僕は風邪で4日間寝込む事になった。


悪寒の原因は、車をでたその場所が湿度が高い割には気温が低い、単なる寒い場所だったからかもしれない。
電話は、よくあるワン切り電話だったのかもしれない。
風邪の原因は、温泉にあたりすぎたあとに夜の寒さが効いたのかもしれない。
別に何があったわけではない。
だけど僕は二度とそこへは行かない。
僕らの知らない寒い世界がそこにはあるかもしれないから。


P.S肝心な部分は省きました、書いていると怖さが戻って来たので。(T_T)