晩秋の写真日和


電車でトコトコお散歩気分で茅ヶ崎へ。
茅ヶ崎の駅から迷いながらとあるカフェへ行く。
とあるカフェではMさんの写真展が開かれている。
コーヒーとシフォンケーキを食べながら、Mさんの写真展の目録?を見ていると、
ご本人がひょっこり現れて内心驚く。
いままで、数回Mさんの写真展を数回見ているが、
一度もお会いした事がなく、その感覚が染み付いているようで
最初は、なんだか嬉しいような残念なような、微妙な感じになる。(笑)


Mさんの写真は、一言で言えば、
コンテスト向きというよりは、個展向きの写真。
そして写真集も見せて頂いたが、
その時代時代の雰囲気と、そこに撮影者のちょっとしたお気に入りや、その時の気分を見せてもらっている感じになる。
写真で語るエッセイだろうか。
そのコンセプトに多大な影響を受けたのだが、最近、自分の写真はエッセイ向きではない気がしている。
そして、写真につけたタイトルのscratch noiseという比喩が気に入る。
僕は写真をしおりと呼んでいたが、それだと当たり前であり面白みがない。
scratch noiseという方が小粋な表現だな。と思う。
「こういう比喩のセンスってどうやったら磨けるものかな」と真剣に考えるが、余り名案は出ない。
だけど、「こういうのってセンスだよ。」の一言にはしたくないなっと思う。


しばらく写真集を見ながらMさんと写真談義をして、もう少し長居したい気持ちを抑えて、恵比寿の写真美術館に向かう。
美術館ではセバスチャン・サルガドの「アフリカ」と「新世紀写真展2009」を鑑賞。
「アフリカ」はアフリカの動物達とアフリカ人たちの作り出す美を期待していたが、
やはりアフリカ、紛争と貧困の写真が多く、期待していたものは少ない。
そのなかでも、難民がマントを羽織った姿でキャンプ地に歩いている人のポートレートや、
難民キャンプに生えている大木に注ぐ一筋の光など、悲壮のなかの美がある。


写真新世紀」は、コンセプト重視の作品群で、その若いパワーに少し疲れる。
美というよりは、ドキュメントな感じだった。
(審査員もそう思ったのかどうかは分からないが、そのなかでもコンセプト性は薄いクロダミサト氏の「He is ….」の受賞でしたね。)


晩秋の日に、個展、メッセージ、ドキュメントを巡る写真日和の日です。