The holy spirit are living in that small forest. Maybe...


「まんまる行こうぜ」
それがいつもの浩平の学校帰りの決まり文句だった。
僕らは学校帰り、コンビニでガリガリ君を買って、いつもの田んぼを抜けて、こんもり木々が茂った”まんまる”に行く。
まんまるには、小さな鳥居と小さな祠があるだけ、それ以外は、木々が生い茂り、朝市に行けばクヌギの木にカブトムシが取れたりする。
田んぼの横の小さな小道を入り、青々と茂った稲を横目に、まんまるの鳥居をくぐる。
正面に小さな祠、その横に大きな石があり、そこが僕らのいつもの場所だ。
石の上に座り、ガリガリ君を食べながらだべる。
「明日プール行こうぜ!」とガリガリ君を食べ終わった浩平がいう。
僕は「行くいく!」といい、正を見る。
正は僕らの顔を交互に見て、
「夏期講習があるから...」と悲しげに言う。
夏の日差しを木々が遮り、斑模様にぼくらを照らす。
気がつくと蝉の声がやたらと大きく響く。
ガリ勉。」
と浩平がつぶやき、さらに
「なんだよ、ガリ勉、いいじゃんかよ一日くらい」というと
「しょうがないじゃん。」と正はいう。
僕は「まあ、いいじゃん塾休みの時一緒に行こうよ」
と場をとりなす。
だけど二人の顔は曇ったまんまだ。
「そういえば、知ってる? この祠」と僕は横の祠を指さして、
「中にオーブが入っていて、それ触るとドラクエの祠みたいに違う所にワープできるらしいよ。」という。
すこし、二人の顔が変化し
「まじかよ。」といって浩平が立ち上がる。
浩平は祠の前に立ち、祠の扉を開けて中にある箱を取り出す。
箱を開けると確かに白く曇ったまんまるの石っころが入っている。
二人の顔を見て、浩平は「触るぞ。」といい、一拍置いて触る。だけど、何も起こらない。
「なんにも起きないね。」と正はいい。
元のあった場所に返そうとする。
すると、風が吹き、雨が降り出す。
「ヤベー、雨だ!」
三人はランドセルを取ってカブトムシのよくいる木に隠れる。
15分ほど雨宿りをすると空は晴れ上がり、さっきまで雨が降っていたのが嘘のようだった。


それが僕らの終業式、夏休みのはじまりの日の出来事だった。

...という、なんか精霊とか、もののけが出そうなベタな設定が浮かぶ森です。