アメフラシ


アメフラシを食べてしまった少年は、どこに行くにも雨が降る。
自分の町を湖にして沈めてしまい、世界を旅する運命を背負う。
干ばつの地域では喜ばれるけど、そこに長く滞在すれば洪水になってしまう。
人々に気づかれる前にジプシーのように各地を転々とする。

少年は大人になりシャーマンになった。
見せかけだけの祈祷をして雨を降らせ、御礼を云われて町を去る。
好きな人が出来ても長くはその地に留まれない。
そんな生活にも疲れが来ていた。

さらに月日は過ぎて、ある町で女性のシャーマンに出会う。彼女もアメフラシを食べてしまっていた。
二人は山を越え海を渡り、とある砂漠にたどり着く。そこで二人は生涯を閉じることを決めた。
二人が力尽きて倒れた砂漠は雨が降り、ついには湖になり、世界中は涙を流すような雨に包まれる。
これが有名な洪水伝説である。

...なんて想像をしてみると少しは憂鬱な雨も面白くなります。