ふるさとの海
板張りの天井が見える。子供の頃、幽霊番組なんかを見てしまった夜は、天井の木目が人の顔に見えて、毛布に包まって見ないようにしていた。「パキ」なんて家の木が軋む音がすると「ビック」となって、悶々と幽霊番組がリフレインした。今、天井を見ても人の顔は浮かんでこない。
実家の床の間はすっかり物置に変わっていた。鯉の掛け軸はすっかり外され、変わりに母親の服が大量に収められていた。どうやら物が捨てられないのは母親譲りのようだ。
朝飯を食べ終わると無性に海が見たくなった。
今は海のない県に住んでいる。だからかもしれないが、海の匂いと風が妙に恋しくなる事がある。吉本ばななの「TUGUMI」でもそんなフレーズがあった。海から離れて住むまではそんなことは思い出すこともなかった。
自転車で2、3分走ると海が見えた。
吹き付ける風、足に付く砂、潮の匂い、それらを浴びると携帯の電池マークが3つともった感じになる。
今住んでいる所より都心に近いけどふるさとには違いないようだ。
※この日、F氏と町撮りをしたので、平日に写真をアップしていくことにします。
- 作者: 吉本ばなな
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1992/03/01
- メディア: 文庫
- 購入: 8人 クリック: 81回
- この商品を含むブログ (193件) を見る