カメラ日和 〜築地〜


到着したバスは新橋駅行き。どうやら新橋機関車観賞コースになりそうだった。

もんじゃ焼きで有名な月島を過ぎ、築地のアナウンスが流れる。バスから周りを見ると築地の文字と寿司屋の文字が躍る。
築地市場って行った事ってある。」とF式。
「ない。行ってみる?」と僕。
F式ブザーを押す。
二人とも降り立ったはいいが築地市場の場所は知らない。周りの人に聞いたりしたが地元の人はおらず、結局お互いの嗅覚で突き進む。
大通りの角を曲がったところに間口一間程度の小さな店が沢山あった。そこはいわゆる場外市場と呼ばれるところだった。

「ほとんどシャッタが降りているね。」
「平日じゃないと市場が開いてないのかも。」とF式がいいつつ、奥へ入っていく。

豊洲とは打って変わって、疎らな人。それでも僕らのような市場の活動時間を知らない者のために数件の寿司屋や明太子屋が営業してくれている。場内市場の入り口と神社を観賞して、来た道を戻る。そのあいだも気を引いた風景をカメラに収めていく。収められた閑散とした風景は、逆に平日の活気を想像させる。

帰り際に、行きに選んでおいた一軒のお寿司屋に入る。手際の良い職人さんのお寿司を握る動作は心地よいリズムがあり見ていて楽しく、待つ時間も飽きることがない。
「へい、お待ち!」と威勢の良い掛け声と共にお寿司が出される。ゲタの上には大トロ、中トロ、赤身、ハマチ、甘海老、蟹、ホタテ、いくら、卵、鉄火巻き、そしてウニが盛られている。
「minoresu、ウニあげようか?」とF式。
「俺もだめなの知ってるじゃん。」と僕。

「嫌いなものは先に」っと、二人してウニを口に頬張り、苦い薬を飲むようにお茶で流し込む。嫌いなネタも含めて昼ごはんを抜いている僕らには非常においしい。
お寿司屋さんを後にして、腹ごなしに有楽町まで歩くことにする。日が落ち行く中、次来る時は活気のある市場を見ながらまたウニを食べようと思った。



                                                                                                      • -

fotolifeに「カメラ日和」の他の写真も載せています。
よろしければご覧ください。