流れ星に願いを込めて 〜エピローグ〜


星を見てからもうだいぶ経つ。外は雨が降り、星空なんて望めるすべもない。だけど、心の中では濃い青の空の上で星がクルクル回っている。

小学生の夏休み、おばあちゃんの家に泊まりに行った。
あの頃のおばあちゃんの家は古い木造の家で、部屋数の割には手入れされていない大きな庭があった。庭には大きな栗の木とくるみの木が生えていて秋には栗拾いなんかもできた。まだその頃は井戸もあって、冬暖かくて夏つめたくおいしい水を飲むこともできた。

夕食を食べてTVを見たりトランプをしたり、お遊びがひとしきり終わったころ、井戸水を沸かしたお風呂に入る。お風呂は母屋から少しは離れた所にあり、一度外に出なければならなかった。時間を忘れたアブラゼミが鳴く中、風呂に入るために外に出る。辺りはすっかり真っ暗、空を見上げると落ちてきそうなばかりの星空が広がっていた。

視力の落ちていない子供のころの僕は、天の川の星一つ一つまで見ることが出来る。小学校で覚えたての星座を探したけれど星の数が多すぎて知っている星座はひとつも見つけることが出来なかった。そんな子供の頃に見えていた星空をこの写真を見て思い出した。

今では視力も悪いし、おばあちゃんの家も子供の頃の面影はないほど変わってしまっているし、大きな庭は大人の目で見ると縮んだように見える。

でも、今の星空は子供の頃の星空とまったく変わっていないんだろうな。

にほんブログ村 写真ブログへ