中つ国の旅 〜二胡と小籠包と上海蟹〜


八年前の中国旅行で過剰な接待にあったせいか分からないが僕は中華料理が嫌いだった。
一緒に行った留学生の劉君は大変な上流家庭、お父さんとお母さんは南京大学の学長と教授、兄貴はノルウェーで医者を、姉は化粧品会社の社長婦人だった。

そんな方々のご馳走はすさまじく、蛇は出てくるは、高価な魚、小籠包は食べきれない。
日本流の流儀では出されたものは残しちゃだめと思っているし。
中国流の流儀ではご馳走するときは余らせるまでたべさせないとだめ。
そのことは後で知ったことだけど、たしか小籠包と上海蟹も食べたはずだった。
味などあまり覚えていないけど、ひたすら日本流の流儀を通そうと食べていたのを覚えている。


今回は、みんなでお金と相談をしながら注文をする。

最初にフカヒレスープから始まり、難しい漢字の魚や、焼きそばやチャーハン、上海蟹と蟹入り小籠包が運ばれてくる。
食べ始めるといつの間にか始まった中国楽器の生演奏。
二胡と揚琴と柳琴の奏でるゆったりとした旋律。
緊張とも緩やかとも感じる二胡の音色は、なぜか僕の心に故郷のような安心感を与えてくれる。
「改めて僕の生まれは中国なのだろうか。」と思う。
中国人に中国語で道を聞かれるし、日本人には中国人に間違えられることがたびたびあるのだ。

料理で一番気に入ったのが蟹入り小籠包。小籠包をふさっと噛んで染み出てきた熱っつい汁は、中華が嫌いな僕の心を溶かしていた。

最後に僕が中華では唯一好物な杏仁豆腐を食べようと

「杏仁豆腐を6つ」と注文すると、
「ないです。」と店員さん。

(-_-;)

...杏仁豆腐は中華じゃないのかい。

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