高尾山


高尾山にtotoro、T氏とともに登山する。
高尾山は東京の外れにある標高599m程度の低い山だが、山伏の修験山でもあり十分に山の貫禄を備えている。
そして、東京と富士山を結ぶ山であり、昔は富士山を拝む場所としても有名だったらしく、なかなかのパワースポットらしい。


山頂で富士山が拝めることを望みながら、テクテクと舗装された山道を登り始める。
自分としては、にわかアルピニスト気分だったが、totoroやT氏よりも息が上がっている。
大学生の頃登った時は、オリエンテーリング(全てのチェックポイントを探して時間を競う競技?)をしながら登ったのに比べると年のせいか、運動不足のせいか、体力の衰えを実感する。
だけど、登山は自分を見つめる作業。
そんな些細な事は頭から振り払い、周りの自然を感じて、気になった風景をカメラに収める事に専念する事にする。


途中の展望台まで着くと、売店は幾つもあるし、そこに人々が集まる風景は、山というより、町中という感じがするが、それでも、一歩一歩登って来た風景は、格別のものがある。


お団子で体力を補給して、たこ杉や、薬王院を抜けて、更に歩を進めるとほどなく山頂に到着する。
そして、富士山の見える見晴し台まで向かうが、残念ながら空気に陰りがあり見る事は叶わなかった、
でも、なんだかそれでもいいなと思う。ある意味、また高尾山に登る理由が出来たのだから。と。


下山は人気を避けるために、稲荷山コースを選ぶ。
こちらの山道は舗装されておらず山らしい道。
中程まで来た時に、
先頭を歩いていたtotoroがベンチに座り、目をつぶって、頭を垂れる。
「ここ、気持ちがいいですよ。 座って目を閉じて何も考えないでいると癒されますよ。」と目を瞑りながら言う。
僕らもそれに習って、ベンチに座り、ゆっくり目を閉じる。
すると、遠くの鳥の声や、枝葉のこすれる音、すれ違う人の足音、自分の鼓動、秋の空気。
そんな山の気配が伝わってくる。
そして、頭の中は、それらの音や、感覚に刺激され、色々な事が頭に浮かんでは消えて行く。
「なかなか空っぽにはできないね」と僕。
「簡単ですよ、寝る前の感じで、なにも考えなきゃいいんですよ。」とtotoro。
「なにか頭にうかんできちゃいますよ」とT氏。
どうやらtotoroだけが無想をコントロール出来るようで少し尊敬する。
だけど違う考え方をすれば、totoroだけに、少し人間離れした所があるのも当然とも言える。笑


そして、日暮れ前に無事下山。
車で東京まで向かう中、街の光や、車のテールランプを見ていると、なんだかまた山が名残惜しくなる。


是非、また山へ行きましょう!